ドイツ映画 BARBARA

BARBARA   東ベルリンから来た女


2012年ベルリン国際映画祭銀熊(監督)賞に輝いた全編ドイツ語によるドイツ映画。

1980年、東西ドイツが分裂してベルリンの壁崩壊前の東ドイツが舞台の
「敵対する政権下で運命に翻弄される男女」の切ない恋愛ストーリー。

以下、あらすじ&私の感想のみで、特にネタバレはありません。

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1980年当時、社会主義の東ドイツと資本主義の西ドイツは
同じドイツであってもドイツ国民は自由に行き来することも許されなかった時代。 
特に東ドイツから西ドイツヘ訪問するには厳しい特別許可が必要で
その許可が下りることはまず不可能だった。

東ドイツ人の主人公バーバラ(ニーナ・ホス)は、東ベルリンの有名な病院に勤務するエリート女医。
バーバラには西ドイツ人の恋人ヨルクがいた。
(どうやって知り合ったかは話の中では説明されないが
多分、仕事で東ドイツヘ来たヨルクとベルリンの病院で医者と患者として出会っていたのかも知れない。)
ヨルクと一緒に暮らしたいためバーバラは
西ドイツへの移民を希望して特別許可を申請したが、許可は却下され
その代わりに、バルト海に面する小さな町のクリニックに左遷される。 

バーバラは田舎のクリニックでも秘密警察(シュタージ)から24時間監視され
西ドイツから出張で訪れるヨルクと秘密裏に会うことは決死の出来事。
少しでもどこかへ数時間出かけようものなら
シュタージに家宅捜査、身体検査までされ屈辱を味わされるのだった。

クリニックには誠実でマジメで人が良さそうな同僚医師アンドレがいた。
当初アンドレはシュタージにバーバラの監視を頼まれて見張っていたが
バーバラの本来の人柄に、だんだん惹かれていく。

何回も東ドイツ脱出を図り、何回も逮捕され、少年院に送れ込まれては
これまた脱走して傷を負いクリニックに運ばれてくるティーンの女の子ステラ
自分の面影に重ね、面倒を見続けるバーバラ。
愛するヨルクの考え通り、すべてを捨てて、東ドイツの検問をすり抜け
バルト海からデンマークヘ逃亡しようと計画するバーバラ。

バーバラは無事、東ドイツ脱出できるのか?
はたまた、だんだんと打ち解けてきているアンドレと一緒に医師として働くため東ドイツに留まるのか?


女性としての幸福を掴むか…医師としての使命を果たすか…
静かに淡々と進むストーリーは時折緊張感も走り少しサスペンス要素もあり
全体的には「人の優しさ」もテーマになっています。

東西ドイツ統一後の今でも旧東ドイツ地域には
社会主義時代の様子を詳細に展示しているミュージアム、
政治犯や思想犯が収容され実際に使用されていた東ドイツ時代の収容所、
秘密警察、諜報機関の旧建物など
一般公開され見学できる場所が多く非常に興味深いです。

分裂時代の東西ドイツ両国とも旅行して
統一後、ドイツの大学に留学していた私にとって、いろいろ考えさせられる映画でした。



BARBARA 東ベルリンから来た女 は日本でも現在公開中。



私の採点   ★★★★☆(4つ星)



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by schatz1995 | 2013-04-11 10:58 | 2013年全米公開映画 | Comments(6)
Commented by ちーぷさいど at 2013-04-12 07:46 x
とても興味深い作品のご紹介、ありがとうございました。

東西ドイツ分断時代の物語は、今の朝鮮半島に重なって見えます。こちらでは連日、ミサイル関連のニュースが報道されています。このまま“最悪の事態”が回避されても、そこに住む人達はどうなるのかなぁ…と。近くて遠い国のことを考えると、何とも陰鬱な気分になります。ベルリンの壁が壊された時、ライブ映像を見ながら「自分が生きている間にこの壁が崩れるとは…」と思ったものですが、私が生きている間に38度線が無くなる日は来るのかなぁ。

ところで、schatzさんのお名前、ドイツ語つづりだと思っておりましたら、そうですか、ドイツに留学されていたのですね。すごいなぁ。ということは、英・独・日のトリリンガル?うっ・・・うらやましい。ドイツは、一生に一度は行ってみたい場所です。ミーハーですが、ノイシュバンシュタイン城とか行ってみたいです(^^)
Commented by Schatz1995 at 2013-04-14 02:49
ちーぷさいどさん:

月日が経つのは早いですよね…。
学生時代からバックパッカーだった私は、ヨーロッパ旅行が大好きで
実は、ベルリンの壁が崩壊する3日前まで!東西ドイツを旅行していたんですよ~。
何十万人規模の民衆の自由へのデモ行進も実際に自分の眼で見ています。
西ドイツから東ドイツへ列車入国の際に
恐ろしいほど厳しい荷物チェックを検問所の係官にされたことも
今となっては貴重な想い出です。
壁が崩壊した当日は、デンマーク・コペンハーゲンを旅行中で
”なんで、あと3日ドイツに滞在していなかったんだろう! 歴史的瞬間を体験できたのに~!”
と自分で計画した旅行日程を後悔しました(笑)。

お察しの通り、英語、ドイツ語を話します。
残念ながらUSAでは今回のようにドイツ映画が劇場公開されることは少ないんですよね…。
その分、毎年ドイツ訪問時に、いろいろドイツ映画を観てきます。

>ノイシュバンシュタイン城…
ご存知のように山の上にあるので、徒歩または馬車で長い急坂を登ります。
登ったら、吊り橋を渡って見える城の全景は、本当におとぎの国の城みたいに♪きれいです。
いつか行ってみてください♪
Commented by ちーぷさいど at 2013-04-15 07:45 x
>あと3日
>歴史的瞬間

テレビで見ていても、ものすごく感動しましたから、現地にいたらさぞかし…だったでしょうね。

今は亡きわが父が中国旅行し、戻ってきて約半月後に天安門事件が発生しました。当初の予定では夏に行くはずだった旅行、予定のままなら父の中国旅行はキャンセルになっていたかもしれません。

>ノイシュバンシュタイン城
馬車で坂を上るとは!情緒たっぷりですね。このお城、外見もさることながら作った人にも興味がありまして、本当にいつかぜひ行ってみたいのですが、問題は…吊り橋。うーん。
Commented by schatz1995 at 2013-04-17 07:57
ちーぷさいどさん:

お父さまと天安門事件の話も興味深いですね…。

>作った人にも興味があり…
…というと映画「ルードヴィヒ」も観ていますか?!
ルキノ・ヴィスコンティ監督作品は私の生まれる前に撮影した映画ばかりだけど
リバイバル上映の度に映画館ヘ足を運んで観ていました。
ルードヴィヒ2世を演じたヘルムート・バーガーの若い頃の美しさと言ったら…ホ~ッ♪

>問題は…吊り橋
吊り橋を渡らなくても城内部の見学は可能ですが
ポスターに掲載されているような城全体の全景をバッチリ自分の眼で見たいなら
やっぱり橋を渡ったほうが、より見れるんですよ♪

Commented by ちーぷさいど at 2013-04-17 10:07 x
むか~し、テレビでヴィスコンティ特集をやった際、これと「ベニスに死す」を観た遠い記憶が…(遠い目) 私がルードヴィヒ2世に興味を持ったのは、どちらかというと映画よりも澁澤龍彦さんという作家さん(サド侯爵を日本に紹介し、裁判にまでなった方)の影響です。

>リバイバル上映の度に映画館ヘ足を運んで観ていました。

約4時間ありますよね(^_^;) 何度も足を運ばれるとはすごいです。リードがプレンティスを誘った「惑星ソラリス」が約3時間。当時にしてはこの2本、かなり長尺な作品だったのですね。

それにしても。

>生まれる前

おおぅ。Schatzさんってばお若い♪ 私、とっくに生まれておりましたぁ(←自慢にならない)

ところで、ボストンは大変でしたね。今も混乱は続いているようですが、お身内様やご友人が早く穏やかな生活を取り戻されること、一日も早く犯人が捕まることを祈っております。
Commented by schatz1995 at 2013-04-19 02:37
ちーぷさいどさん:

なるほど映画からというより小説家からの影響なんですね。

ルードヴィヒ2世が建設した3つの城
(ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホフ城、ヘレンキームゼー城)
すべて外観が異なり豪華で素敵です。
将来もし行かれることがあるなら、3点セット(笑)で見学オススメします。
ルードヴィヒ2世が謎の死を遂げたシュタルンベルグ湖も行って来た私です(笑)。

>ボストンは大変でしたね…
ご心配いただいて、ありがとうございます。
現時点では情報も混乱していて未解決なので、1日も早い解決を願います…。