カンヌ国際映画祭グランプリ作品 SON OF SAUL

SON OF SAUL

SAUL FIA

サウルの息子


カンヌ国際映画祭コンペティション部門グランプリ作品。

ゴールデン・グローブ賞最優秀外国語映画賞受賞をはじめ、USAで開催された数々の授賞式で受賞。
来月開催されるアカデミー賞外国語映画部門にもノミネートされていて
受賞最有力候補と言われているハンガリー映画。

全編ほとんどハンガリー語、ドイツ語、イディッシュ語。

以前から、こちらで述べているように
このブログでは、主に英語を言語とする米国または英国製作の映画をより多く取り上げています。
日頃から、その他の外国語で製作される映画も数多く観ていますが
ほとんどブログには取り上げていません。
しかし今回は、この映画が現在、日米同時公開中、
数々の最優秀外国語映画賞を受賞している作品ということで、ブログ記事を書くことにしました。

以下、あらすじ少し&私の感想を書いていて、ストーリーのネタバレはありません。

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第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによって管理・運営されていた、
アウシュヴィッツおよびビルケナウ強制収容所
“Sonderkommando (ゾンダーコマンド)”という特別な任務チームのメンバーとして
強制労働させられていたユダヤ系ハンガリー人のサウル(ルーリグ・ゲーザ)が主人公。

毎日、毎日、収容所へ送られて来る何百人、何千人、何万人の同胞ユダヤ民族が
毒ガス室で殺害された後、
サウルをはじめ”ゾンダーコマンド”メンバーは自分の感情を押し殺して黙々と
死体処理や遺留品処理、血や嘔吐物で汚れた床の清掃などの作業をしていく。

サウル自身も、ユダヤ人でありながら、特別な仕事を与えられたことにより、
ナチス親衛隊に罵声を浴びせられ、殴られながら、
彼らに反抗すれば容赦なく射殺されることもありながらも、どうにか生き延びていた。

そんなある日、映画タイトルにもなっている”サウルの息子”事件が発生、
同時に武装蜂起を着々と進めるメンバーもいた…。


映画 SON OF SAUL サウルの息子 は、
”ホロコースト”という題材からいって当然といえば当然なのだけど…
あまりにも救いようがない内容で、鑑賞後も哀しみは増すばかりで、とても重く悲しい作品です。

この映画の珍しいポイントのヒトツは撮影方法。
カメラ・ワークが、サウルに焦点を当てるため、背景は故意にフォーカスされないシーンが多いです。
例えば、サウルの背景で行われている虐殺シーンの焦点を故意に”ぼかす”ことで
そのシーンは観客にはハッキリと映らず
ナチス護衛隊が命令するドイツ語のセリフ、ユダヤ人の叫び声が響く中、
観客は“その見えないシーンの鮮明な部分”を、彼らのセリフをもとに
自分自身で頭の中で想像で描きながら観ていくような感じのシーンが続きます。

さらに、サウルが絶えず働いているか、動き回っているシーンが多いため
観ている者は必死に彼の動向を眼で追うシーンも多くなります。


私は以前、ポーランドを旅行した際に
実際にポーランド南部オシフィエンチムに現存する、
アウシュヴィッツ強制収容所、ビルケナウ強制収容所を2日間かけて見学しています。
10年以上も前の訪問だけど、
一般公開されている収容施設、ガス室、実験室、銃殺刑が行われた壁などを
自分の眼で見たあの光景は忘れることなく今でも鮮明に覚えています。

そして、ナチス、ホロコーストに関連する映画も今まで数々観てきています。

特に、ロマン・ポランスキー監督が手掛けた映画 THE PIANIST 戦場のピアニスト は
映画挿入曲も美しく、何十回も観ている大好きな作品です。
THE PIANIST 戦場のピアニスト は、残虐なホロコーストの実態を描きながらも
エイドリアン・ブロディ演じるユダヤ系ポーランド人ウワディスワフ・シュピルマン
心優しく手助けしてくれる人々も登場して、悲哀の中にも“一縷の望み”が残され、
鑑賞後は、悲しく切ないながらも少し救われた気持ちになるから大好きな作品なのだと思います。


映画 SON OF SAUL サウルの息子 は日本でも公開中。
人間とはいったい何なんだろう…鑑賞後もいろいろと考えさせられる非常に悲しい作品。


追記: SON OF SAUL サウルの息子
アカデミー賞 最優秀外国語映画賞に輝きました!



私の採点   ★★★☆☆ (3つ星)



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by Schatz1995 | 2016-01-24 05:23 | 2015年全米公開映画 | Comments(4)
Commented by 松たけ子 at 2016-01-26 13:44 x
こんにちは!
この映画も早く観たいです!オスカーでも大本命でしょうか。
でも、かなりヘヴィで悲しい映画みたいですね~…ヌルいチャラい映画やドラマばかり観てる私なので、ガツンときそう。ハンガリー映画って初めてかも。
ポーランドにご旅行されたことがおありなのですね!私もいつかは行ってみたいです。アウシュヴィッツで平和について考えることももちろんですが、やはり海外旅行は美味しいものとか現地のイケメンに興味が向いてしまう私(汗)。
戦場のピアニスト、トーマス・クレッチマンが素敵でした…
非英語映画のレビューも、ぜひ拝読したいです!日本ではほとんど観られないドイツ映画とか特に…
Commented by ちーぷさいど at 2016-01-26 14:23 x
とても辛くなるけれど、「それでもやっぱり観なくちゃ…」という気にさせられる映画ってありますよね。WOWOWでやったら・・・頑張って観ようと思います。ご紹介、ありがとうございました。
Commented by Schatz1995 at 2016-01-28 05:49
松たけ子さん:

やはり、アカデミー賞外国語映画部門は、この映画が受賞するでしょうね~。

>ガツンときそう…
きます!重いです、本当に…。

ポーランドは、首都ワルシャワ、中都市クラクフなど、美しい歴史建造物も多く、
近代色がありつつも少々レトロな街並みもキレイです。
ただ、ここだけの話(笑)食事はあまり美味しくなかったかも…。

>トーマス・クレッチマンが素敵でした…
軍服姿が美しかったですよね~!
彼が演じた陸軍大尉の話すドイツ語も、セリフながら、
文法的にも発音的にも非常に“美しいドイツ語“で惚れ惚れしました。

>現地のイケメンに興味が向いてしまう…
余談ですが(笑)…
私は以前、数年間、イギリス、ドイツに暮らしていて
今も毎年ヨーロッパ各国も旅行していますが
イケメン、ハンサム度が高い国はオランダだと思います!(断言!)

北欧4カ国の貴公子とか、ドイツにも確かにイケメンいるけど
確率、割合から言うとオランダが最強だと思います。
田舎の(またはその辺の近所の)クリーニング屋さんとか配管工事の人とか
農作業をしている人でも、驚くほどイケメン度が高いです(笑)!
そしてヨーロッパいち平均身長が高いので(男性約185cm)、
よりカッコ良く見栄えするんですよね~。
さすが酪農王国、子どもの頃から食べるモノが違うのかな?!
でも国際的に活躍しているオランダ出身の俳優って少ないですよね~。
Commented by Schatz1995 at 2016-01-28 05:57
ちーぷさいどさん:

>「それでもやっぱり観なくちゃ…」という気にさせられる映画…
まさにその言葉の通りです!

内容から判断して、気分が暗くなることが分かっていても
平和を願う者ならば、やはり観ておかなくては!…と思う作品だと思います。

余談ですが…
ホロコースト関係の映画が日本公開される時は
原題を無視して、何でも「ヒトラーの●●」という邦題ばかりつけますが
今回は原題をそのまま訳した邦題がつけられましたね。